議論に参加していると、時として奇妙な展開に巻き込まれているときがある。
最初の会合では議論の目的とする主題に対して的確な意見が提出される。その歴史的変遷をどのように評価するかや、それがもたらした現状の評価と分析、将来の展望など、たたき台となる案に対し様々な検討がなされ、これから取るべき方策が次々と提出され、建設的な雰囲気に満ち溢れた中で名残惜しみつつ次回の会議に持ち越しということになる。参加した各人はこの会議からさらなるアイデアが次々にひらめくほどに頭脳が「耕された」状態となっており、「ある目的に向かって一丸となってつき進んでいく」という素晴らしい共有意識が形成される。 ところが、次なる会合では、その雰囲気が一変している。いつの間にか意見を同じくする何人かで構成される派閥らしきものが複数形成されており、あれだけ議論の多様性が眼前に広がっていると思われたのに、皆がそれぞれの派閥の見解の中で留まろうとし、一体誰に気を使っているのだと不思議に思うくらいに新しい意見は影を潜め、こそこそ打ち合わせらしきものをしている不快なささやき声があちこちから聞こえてくる。異なる意見がぶつかるが、発展は全く見られない。自分達の正当性をお互いに繰り返すばかりで、時には相手の主張をただ否定するだけの言い争いとなる。議論の目的は「我々がどのように考え、どのように進むか」を明らかにする事であることは明白であるのに、聴こえてくるのは「そんな言い分はあなた達の勝手でしょう」「あなたたちに都合のいいことばかり飲めるわけないでしょう」など、いかに相手の立場が倫理的に許されないかという非難合戦に発展する場合さえあるのである。 こうした事態は、すでにネット上でも数多く起こっているようである。 社会的問題を議論する際、「我々の住む日本を少しでも良くしよう」という議論参加者共通の目的があるはずであろうが、これを全く省みずに「相手の立場が倫理的に許されない」ことを連呼することで相手の言論の社会的信用性を貶めようとし、「反対意見をとにかく封じ込める」ことに躍起になっているという、滑稽というしかない状況が存在している。 このような事はもちろんお互いに非があったからなのであろうし、そして恐らくは誰も望んでいない状況でもある。私が今現在このブログで社会問題を扱おうとしないのは、このようなことに巻き込まれたくないからである。 *このエントリは >それにしても殺伐としてますな。ネット上での言論活動など実生活を犠牲にするほどの意味はないと僕個人は思っております。 を若干補足説明したいがために書きました。 (0:45 追加) このエントリで、僕には倫理的判断の重要性を否定する意図はありません。その濫用を恐れてはいますが。 最近テレビでよく見るIT社長のようなやり方は僕も好みません。 それにしても、「議論」という主題は人間や組織の意思決定の問題でもあり、その普遍性から非常に扱いの難しい問題ですね。 メールでのご指摘、ありがとうございました。 #
by reko_pietro_msx
| 2005-03-20 23:29
| ブログ
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by reko_pietro_msx
| 2005-03-18 23:11
| ブログ
「3月15日に気をつけろ。(Beware the Ides of March.)」
などといいますが・・・ ここは恐ろしいインターネッツですね。 http://kiri.jblog.org/archives/001453.html 身近にブルータスがいないか、振り返る日ですよ。。。 #
by reko_pietro_msx
| 2005-03-15 21:55
| ブログ
いや~、見させていただきました。今日放送分「たかじんのそこまで言って委員会」。残念ながら最初の28分間だけですが。
収録に参加した2ちゃんねらー達の容姿等に関しては軽やかにあざやかにスルーさせていただくとして・・・ 出演者は司会のやしきたかじん、辛坊治郎(読売テレビ解説委員)、パネラーの三宅久之、田嶋陽子、鳩山由紀夫、遙洋子、江川達也、宮崎哲弥、桂ざこば、山口もえ(敬称略) まず、軽く2ちゃんねるの紹介Vが流れた後、パネラーの皆さんが「2ちゃんねるなどのインターネット掲示板は規制すべきか否か」という質問に回答。全員「規制すべきでない」と答えられていました。遥洋子女史は恐らく違う意見をお持ちであるようでしたが、逡巡された後でやはり「規制すべきでない」としていました。(恐らく、自分が反対することで2ちゃんねらーの出る時間が減ってしまうのではないかと番組進行の事を考えて自主規制したのでは?憶測でスマソ) この理由として、宮崎哲弥氏が「既に規制が存在し、この法律に基づく裁判も行われている。2ちゃんねるでも利用者のログを保管しており、必要なら証拠提出も義務付けられている。これ以上の規制は必要ないだろう」という意味の意見を述べられていました。 これに続いて各パネラーのネット体験に話が移され、その中で「2ちゃんねらー」にも「どのように2ちゃんねるを利用しているか」「悪口を書いたことがあるか」など質問が振られていました。ここで答えられた方は「馴れ合い板」によく書き込む方で、「2ちゃんねらーの典型例」ではなかったことは記しておきます(そもそも典型例をどこに見出せばよいのだろうか。。。) 桂ざこば氏が「自分のホームページも自分に対する賛否が飛び交ってやむなく『工事中』にしたことがある。」とまさにタイムリーな生々しい話題を語れば、鳩山氏が「自分も昔めちゃくちゃに叩かれてムカついたが、今は全然話題にならなくて寂しい」と思わず心情を吐露したりしておりました。 番組としては非常に面白かったと思います。一方的に誰かを糾弾するというような感じは一切なく、ネット規制、メディア規制、人権擁護法案等の旬な話題が次々に語られていくという、2ちゃんねるを知らない人でも楽しめる内容だったのではないでしょうか。これにはたかじん氏の優れた司会によるところが大きいのだろうと思います。反対意見がなかったのが残念ではありますが、これはまああちこちで語られていることでもありますし、時間の制約もあるので仕方ないだろうなと。 個人的には、鳩山氏の「(事実でない話などもあるかもしれないが)どんどんやりあいながら自浄作用で話が収束していくんですよ」という意見が素晴らしいと思いました。僕はなんら党派的な立場を取る者ではありませんが、ともかくこれが民主主義の本質ではないかと思います。こうした点に関して、「コメント欄炎上→閉鎖」で双方の言論活動が不幸な収束をみるブログよりも2ちゃんねるで好きなだけ議論を戦わせたほうが健全だという考えも成り立つでしょうね。 という訳で、参加された2ちゃんねるの中の皆さん、激しく乙でした。「2ちゃんねらーはキモイ と言ってしまう子が急増!」(昔ν速に立ったスレ)とならなければいいんですが。。。 #
by reko_pietro_msx
| 2005-03-13 22:33
| にちゃんねる
破壊的活動が常に行われる場所においては建設的活動は殆ど不可能であるのが通常ですから、必然的に「延焼を防ぐために建物を壊す」ような解決策しか考えにくいのが現状ですね。
むなぐるま それにしても殺伐としてますな。ネット上での言論活動など実生活を犠牲にするほどの意味はないと僕個人は思っております。 #
by reko_pietro_msx
| 2005-03-11 23:34
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